炭素のみで構成される、ダイヤモンドやグラファイトをはじめとする炭素材料は、結合や結晶構造の違いにより特性が大きく異なり、その多様性から多くの分野で広く活用されています。
このため、炭素材料の結晶構造や結晶性の違いを把握することは重要です。ここでは、結晶構造の異なる炭素材料をラマン分光法により分析した事例をご紹介します。
ダイヤモンドでは、1335cm-1付近にダイヤモンド構造(sp3結合)由来の鋭いピークが観測されました。グラファイトでは、1580cm-1付近にグラファイト構造(sp2結合)由来のGバンドが観測されましたが、結晶構造に乱れがあるグラファイトでは、Gバンドと1350cm-1付近に構造の乱れ由来とされるDバンドのピークが観測されました。また、非晶構造であるカーボンブラックでは、ブロードなGバンドとDバンドのピークが観測されました。
このようにラマン分光法では、炭素材料の結晶構造や結晶性の評価が可能です。