炭素材料であるフラーレンやカーボンナノチューブは、結晶構造の違いにより電気特性等が異なり、エレクトロニクス分野やマテリアル分野で活用されています。
ここでは、結晶構造の異なる炭素材料をラマン分光法により分析した事例をご紹介します。
ダフラーレンでは、1470cm-1付近に六員環に囲まれた五員環ネットワーク由来のピークが観測されました。多層カーボンナノチューブでは、1350cm-1付近に構造の乱れ由来とされるDバンドのピークと1590cm-1付近にグラファイト構造(sp2結合)由来のGバンドのピークが観測されましたが、単層カーボンナノチューブでは、1590cm-1付近にグラファイト構造(sp2結合)由来のGバンドのピークに加え、180~130cm-1にRBM(ラジアルブリージングモード)由来のピークが確認されました。
ラマン分光法では、炭素材料の結晶構造や結晶性の評価が可能です。