分析事例

鉛フリーはんだの金属元素分析(ICP-MS法)

はんだには、錫(Sn)と鉛(Pb)を主成分とした共晶はんだと、Snを主成分とした鉛フリーはんだがあり、RoHS指令などの環境保全の取り組みによって、「鉛フリーはんだ」がよく使われるようになりました。ここでは誘導結合プラズマ質量分析法 (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry, 以下、ICP-MS法) による鉛フリーはんだの成分分析の事例を紹介します。

分析試料

  • 市販の鉛フリーはんだ3種(サンプル①、②、③)

分析方法および結果

鉛フリーはんだ3種を強酸で溶解した後、その分解液をICP-MS測定に供しました。Sn以外の各金属元素の定量結果を表1に示します。

表1 鉛フリーはんだに含まれるSn以外の金属元素定量結果(単位:wt%)
元素名 サンプル① サンプル② サンプル③
Ag 2.4 0.00037 2.4
Cu 1.9 2.4 4.7
Pb 0.030 0.023 0.050
In - - 0.30
Bi - - 0.010
Sb - - 0.096
Ni - - 0.0067

表1から、いずれのサンプルもPb量はRoHS指令の規制値の0.1wt%(1,000ppm)未満であることが確認されました。

まとめ

ICP-MS法では、試料量が少量(数mg~数十mg)あれば、その試料に含まれる金属の定性、定量分析が可能です。