分析事例

熱硬化性樹脂の硬化度測定(DSC)

熱硬化性樹脂や接着剤は、自動車、電子部品、建材など幅広い分野で使用されており、硬化度は接着強度や信頼性を左右する重要な特性値です。本資料では、示差走査熱量測定(DSC測定)を用いて、エポキシ樹脂の硬化度を定量的に評価した事例を紹介します。

分析試料

  • 試料① 2液硬化性エポキシ樹脂 未硬化物
  • 試料② 2液硬化性エポキシ樹脂 80℃×30分加熱硬化物

分析条件

  • 装置名 株式会社日立ハイテクアナリシス製 DSC7000X
    試料をDSC測定用パンに封入し、昇温―降温―昇温サイクルによるDSC測定を実施しました。

分析結果

試料①のDSC曲線を図1に示し、試料②のDSC曲線を図2に示します。図の上段が1回目昇温時のDSC曲線で、下段が2回目昇温時のDSC曲線です。測定結果のまとめを表1に示します。

図2

図1 試料①のDSC曲線

図2

図2 試料②のDSC曲線

表1 熱硬化性樹脂のDSC測定結果
分析試料 発熱ピークトップ温度(℃) 発熱量(mJ/mg) 硬化度(%)
試料① 124 494 -
試料② 108 93 81

硬化度の計算式:硬化度(%)=100-[試料②の1回目昇温時の発熱量 ÷ 試料①(未硬化物)の1回目昇温時の発熱量]×100

試料①は1回目の昇温で約500 mJ/mgの発熱を伴って硬化し、2回目の昇温では発熱が観測されなかったことから、硬化反応は1回目の昇温で完結していると考えられます。一方、試料②では1回目の昇温で約90 mJ/mgの残存硬化反応による発熱が観測され、2回目の昇温では発熱は認められませんでした。試料②は、80℃×30分の加熱では硬化が不十分であり、1回目の昇温で硬化反応が完結したと考えられます。試料②の硬化度を算出すると81%でした。
DSC測定では硬化開始温度や硬化後樹脂のガラス転移温度(Tg)も評価可能です。