熱硬化性樹脂や接着剤は、自動車、電子部品、建材など幅広い分野で使用されており、硬化度は接着強度や信頼性を左右する重要な特性値です。本資料では、示差走査熱量測定(DSC測定)を用いて、エポキシ樹脂の硬化度を定量的に評価した事例を紹介します。
試料①のDSC曲線を図1に示し、試料②のDSC曲線を図2に示します。図の上段が1回目昇温時のDSC曲線で、下段が2回目昇温時のDSC曲線です。測定結果のまとめを表1に示します。

図1 試料①のDSC曲線

図2 試料②のDSC曲線
| 分析試料 | 発熱ピークトップ温度(℃) | 発熱量(mJ/mg) | 硬化度(%) |
|---|---|---|---|
| 試料① | 124 | 494 | - |
| 試料② | 108 | 93 | 81 |
硬化度の計算式:硬化度(%)=100-[試料②の1回目昇温時の発熱量 ÷ 試料①(未硬化物)の1回目昇温時の発熱量]×100
試料①は1回目の昇温で約500 mJ/mgの発熱を伴って硬化し、2回目の昇温では発熱が観測されなかったことから、硬化反応は1回目の昇温で完結していると考えられます。一方、試料②では1回目の昇温で約90 mJ/mgの残存硬化反応による発熱が観測され、2回目の昇温では発熱は認められませんでした。試料②は、80℃×30分の加熱では硬化が不十分であり、1回目の昇温で硬化反応が完結したと考えられます。試料②の硬化度を算出すると81%でした。
DSC測定では硬化開始温度や硬化後樹脂のガラス転移温度(Tg)も評価可能です。