分析事例

高分子材料表面のC=C量と水酸基量の選択的評価(化学修飾-XPS)

高分子材料表面に存在する官能基のうち、炭素-炭素二重結合(C=C)および水酸基は、材料の劣化や濡れ性、接着性などの特性に大きく影響します。これらの官能基を区別して評価することは、材料の劣化メカニズムの解明や機能性材料の設計に重要です。ここではX線光電子分光(XPS)分析により、樹脂表面の同一箇所におけるC=C量と水酸基量を選択的に評価した事例を紹介します。

分析試料

  • プラズマ処理により表面を改質した樹脂膜(処理強度:弱、中、強)

分析方法

プラズマ処理後の樹脂膜表面に対し、C=Cおよび水酸基を対象とした化学修飾処理をそれぞれ施した後、単色化AlKα線を用いたXPS分析をしました。(装置:アルバック・ファイ製 PHI5000 VersaProbe II)

分析結果

化学修飾処理によって導入された元素の濃度から、C=C量および水酸基量を算出しました。プラズマ処理強度に対する各官能基量の変化を図1に示します。図1より、プラズマ処理強度の増加に伴いC=C量は減少し、水酸基量は増加することが確認されました。この結果から、プラズマ処理によってC=Cの開裂と水酸基の生成が生じていることが示唆されました。さらに、水酸基の生成がC=Cの開裂より顕著であることが確認されました(図1)。

プラズマ処理強度グラフ
図1 プラズマ処理強度に対する官能基濃度

まとめ

複数の官能基を選択的に定量評価することで、表面改質や劣化に伴う異なる化学変化を区別して捉えることができます。複数の官能基の変化を併せて評価することで、材料の機能発現メカニズムや劣化要因の解析に有用な情報が得られます。本手法は、材料開発や品質維持、劣化評価への活用が期待されます。