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分析事例

生分解性ポリマーの組成分析

反応熱分解とは有機アルカリ共存下で化学反応を加味して熱分解を行う手法で、試料の選択的な熱分解と分解生成物のメチル誘導体化を同時に行うことができます。 今回は同法と1H NMR法を用いて生分解性ポリマーの組成分析を行った事例をご紹介します。

分析試料

試料はブチレンセバケート/ブチレンテレフタレート共重合体を用いました。
構造式を図1に示します。

図1 ブチレンセバケート/ブチレンテレフタレート共重合体の構造式
図1 ブチレンセバケート/ブチレンテレフタレート共重合体の構造式

分析方法

(1) 熱分解GC/MS法による構成モノマーの同定
水酸化テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)共存下で試料の反応熱分解GC/MS測定を行いました。熱分解装置はフロンティア・ラボ製EGA/PY-3030D、ガスクロマトグラフはAgilent Technologies製7890A、質量分析計はJEOL製JMS-T100GCvを用いました。
(2) 1H NMR法による構成モノマーの定量
試料を重クロロホルムに溶解させ、VARIAN社製VNMRS 600により1H NMR測定を行いました。

結 果

(1) 反応熱分解GC/MS法による構成モノマーの同定

反応熱分解GC/MS法により、生分解性ポリマーの構成モノマーを同定しました。図2(a)にTMAH共存下300℃で反応熱分解GC/MSを行ったGC/MS-トータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)を示します。また、比較として図2(b)に600℃で通常の熱分解GC/MS(Py-GC/MS)を行ったGC/MS-TICを示します。

図2(b)のGC/MS-TIC上には主に主鎖由来の熱分解生成物が検出されました。これに対して、図2(a)のGC/MS-TIC上には主に主鎖を構成するモノマーのジメチルエーテルまたはジメチルエステル誘導体化されたピークが検出されました。この結果、試料の構成モノマーは1,4-ブタンジオール、テレフタル酸、セバシン酸の共重合体であることがわかりました。

図2 生分解性ポリマーのGC/MS-TIC((a)反応熱分解,(b)Py-GC/MS)
図2 生分解性ポリマーのGC/MS-TIC((a)反応熱分解,(b)Py-GC/MS)

(2) 1H NMR法による構成モノマーの定量

1H NMR法により、生分解性ポリマーの構成モノマーの組成比を求めました。1H NMR スペクトルを図3に示します。この結果、1,4-ブタンジオール/テレフタル酸/セバシン酸の組成比は33/29/38(wt%)でした。これより、ブチレンセバケート/ブチレンテレフタレートの組成比を算出すると55/45(wt%)でした。

図3 1H NMRスペクトル
図3 1H NMRスペクトル

まとめ

本分析事例では生分解性ポリマーの組成分析をご紹介しましたが、反応熱分解GC/MS法を用いることで各種縮合系ポリマーを分析することが可能です。更に、NMR法と組み合わせることでその組成を明らかにすることが可能です。

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