スマートフォンなどの電子機器に使用されるフレキシブルプリント基板(FPC)は、樹脂と金属を積層した構造を有しています。FPCが十分な性能を維持するためには各層の密着性が重要ですが、ポリイミド(PI)樹脂と銅(Cu)界面では、使用に伴ってCu酸化物が生成し、剥離の原因となることが知られています。本事例では、劣化した市販製品中のFPCを対象に、斜め切削装置(SAICAS)で断面を作製し、X線光電子分光(XPS)法により界面の化学結合状態を分析しました。
SAICASで作製した切削断面の分析部位1、2について、XPS(単色化AlKα線)測定を行いました(図1)。
【装置】
・SAICAS ダイプラ・ウィンテス製 EN-W型
・XPS アルバック・ファイ製 PHI5000 VersaProbe II

図1 分析部位
Cu2pスペクトルとCu LMM Augerスペクトルをそれぞれ図2と図3に示します。両スペクトルからCu層の内部(分析部位1)では、Cuは金属状態であるのに対して、Cu層のPI層との界面近傍(分析部位2)では、一部のCuが酸化しCuOの状態であることが分かりました。

図2 Cu2pスペクトル

図3 Cu LMM Augerスペクトル
SAICASを用いることで、プローブ径が大きく通常は断面測定が困難なXPS分析においても、異種材料界面の分析が可能となります。